ビタミンB₁が欠乏してしまうと、前述した通り疲労や脚気といった症状が現れます。脚気とは、ビタミンB₁の欠乏によって抹消神経に障害が起こる病気です。脚気になると、食欲不振・疲労感・脚のしびれやむくみといった症状が挙げられ、重症になると心不全を起こして死に至るという事も。余談ではありますが、江戸時代にも脚気が多発し、「江戸わずらい」とも呼ばれていたそうです。江戸でお寿司つまり白米を食べる習慣が浸透した事で、地方から江戸へ出てくると体調を崩し、帰郷すると治るという事からそう呼ばれていたようです。徳川3代将軍の家光、13代将軍の家定、14代将軍の家茂も脚気による心不全で亡くなったのではないかとされているのです。現在ではサプリメントとしても摂取する事が可能ですが、その安全性も気になるところでしょう。基本的にはほとんどの人に安全なようですが、ごく稀に皮膚炎やアレルギー反応を起こす可能性があります。成人の1日推奨量は男性で1.0~1.4㎎、女性で0.8~1.1㎎。授乳中および妊娠中期の方は、+0.1㎎、妊娠末期で+0.3㎎が付加されます。肝疾患やお酒の飲みすぎなどアルコールの多量摂取で吸収量が減り、欠乏を招く可能性がありますので注意が必要でしょう。